お知らせ

2025/07/07 16:43

はじめまして、キムチです!!



鳴門キムチの香西隆伯と申します。



私が現在ここで働いていることを話すと、時々、こう聞かれます。



 「どうして、鳴門キムチだったのですか?」と。



少しだけ、私自身の経験と、この工房が持つ、徳島、もしかしたら全国でも珍しい「ある取り組み」について。



そして、代表の烏野と出会い、鳴門キムチというチームが生まれるまでの物語を、私自身の視点からお話しさせてください。



私たちの工房は、少し変わっています。



 でもそれは、私と代表の烏野が、「徳島から世界へ」という壮大な夢を、誰もがその才能を最大限に発揮できる「最高のチーム」で実現しようと決めた、挑戦の物語なのです。



福祉の壁と、小さなキムチ屋の夢


私は以前、就労継続支援A型事業所で働いていました。



あまり聞き慣れない言葉ですので、分からない人のために簡単に説明しますと、障がいをもつ方が一般企業への就職へ向けて訓練するための福祉サービス、とお考え下さい。



私はそこで、素晴らしい能力を持ちながらも、社会の中でその才能を発揮する機会を十分に得られていない仲間たちと、訓練を通じて多くの時間を過ごしてきました。



 私は心のどこかで、大きな壁を感じていました。



 「福祉」という枠の中で守られるのではなく、民間企業という、より厳しい世界で、彼らの才能が通用することを証明したい。



そのための環境を、自らの手で作り上げたい、と。



同じ頃、代表の烏野は、徳島の素材を使った、地域に根ざした小さなキムチ屋を開こうとしていました。



そんな二人が、徳島の片隅で、出会いました。



キムチの可能性と、私の確信


烏野はキムチ屋をオープンするのはいいものの、働き手がいないことに頭を悩ませていました。



ちょうど私も、独立して福祉とは別の業態で、障がいをもつ方の可能性を拡げる方法を模索している最中でした。



烏野と私が話す中で、彼の考えは大きく変わっていきました。



 「キムチは加工食品だ。徳島という枠に収まる必要はない。全国、いや、世界で勝負できるじゃないか」と。



その野心的な言葉を聞いた時、私は確信しました。



 「それなら、私の仲間たちの出番だ」と。



製造業には、様々な特性を持つ仲間たちが、それぞれの得意分野を活かせる業務が無数にあります。



 黙々と、しかし誰よりも正確に作業をこなす製造のプロ。 



PCに向き合い、緻密なデータ入力を得意とする仲間。



 頭脳労働は苦手でも、体力には自信があり、重い荷物を軽々と運んでくれる力持ち。



 そして、持ち前の愛想と笑顔で、チームの太陽となる仲間。



それも、お金では買えない、立派な才能です。



障がいは、適切な環境さえあれば、何らハンデにはならない。



むしろ、最高のパフォーマンスを発揮する「個性」になる。 そのことを、私は誰よりも知っていました。




鳴門キムチ、始まりの約束


「徳島から、世界へはばたくキムチを作る」という烏野の夢。



 そして「障がいを持つ仲間たちが、その才能で世界と戦うチームを作る」という、私の夢。




その二つの夢が、完璧に重なった瞬間でした。




どうせやるなら、世界へ。 そして、そのチームが、障がいを持つ仲間たちによって支えられている。


そんな、誰も聞いたことのないようなチャレンジをしようじゃないか。




これが、鳴門キムチが生まれた、始まりの約束です。



 代表の烏野も、この無謀とも思える私の提案に、二つ返事で共感してくれました。



私たちは、最高のキムチ作りと、最高のチーム作りを同時に実現するため、協力して事業を盛り上げていくことを、固く誓い合ったのです。



そして、「チーム」が生まれた日々のこと


こうして、私と代表の烏野の、壮大な挑戦は始まりました。




現在、私、香西は、正式な従業員という形ではなく、アドバイザーという立場で、烏野と共にチーム作りを進めています。



そして、私たちの理念に共感してくれた、2名の障がいを持つ仲間が、工房の主役として働いてくれています。(2025.07時点)



もちろん、私や烏野は、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、必要な支援を惜しみません。



しかし、それは「障がいがあるから」という理由ではありません。



 私たちは、障がいを持つからといって、変に優しくしたり、過剰に手伝ったりすることは、一切ありません。



それは、彼らが持つプロとしての才能と可能性に対する、むしろ最大の侮辱だと考えているからです。



チーム全員が、「最高のキムチをお客様に届ける」という一つの目標に向かって、一丸となる。



 障がいの有無による上下関係など、私たちの工房には存在しません。



一人ひとりが、自分の役割に誇りを持ち、対等な立場で、互いに敬意を払う。



それが、鳴門キムチの、偽りのない日常です。



結果として、現在の鳴門キムチは、名目上「障がい者雇用率100%」の工房となりました。



 しかし、正直に言えば、私たちはこの数字自体に、こだわりはありません。



私たちの工房は、まだ始まったばかりの、とても小さなチームです。これから事業が大きくなるにつれて、様々な個性を持つ、多様な仲間が必要になるでしょう。



大切なのは、100%という数字を守ることではありません。 



「一人でも多くの人へ鳴門キムチの魅力を届けたい」と、真剣に考え、汗を流してくれる仲間と共に、成長していくこと。



 私たちは、心からそう信じています。


出店販売するスタッフの様子です



徳島の課題と、私が思い描く未来


私がなぜ、これほどまでに、この「新しい工房の形」にこだわるのか。 



最後に、少しだけ、私個人の夢についてお話しさせてください。



私が肌で感じる、この土地の現実


徳島で事業主の方にお会いすると、決まって話題に上がる言葉があります。



 「とにかく、人がいない」と。




日本の、特に地方が抱える、高齢化と労働力不足。



それは、ここ徳島でも、待ったなしの深刻な課題です。



 優秀な若者は、より高い賃金を求めて東京へ。



いや、今や日本という国そのものに可能性を見出せず、活躍の場を海外へ求める時代です。



 地方に残り、高い志を持つ人材は、わざわざ企業に就職せず、自ら起業の道を選ぶ傾向にあります。



 結果として、地方の中小企業には、働き手が集まらない。これが、偽らざる現実です。



しかし、本当に「いない」のでしょうか?



その一方で、私は、もう一つの現実を知っています。



 素晴らしい能力と、働く意欲を持ちながら、「障がい」という一つの理由だけで、その選択肢を大きく制限されている仲間たちの存在です。 



県内を見渡しても、彼らの才能に本気で門戸を開いている中小企業は、まだまだ、あまりに少ないのが現状です。




ここに、大きな「機会」が眠っているのではないか。 



「働き手がいない」という企業の悩みと、「働く場所がない」という個人の悩み。



 この、一見すると無関係な二つの問題を、繋ぎ合わせることはできないだろうか。



鳴門キムチの挑戦と、僕の夢


鳴門キムチの挑戦は、この仮説を証明するための、一つの壮大な社会実験でもあります。



会社の夢は、最高のメンバーで、徳島から世界にはばたくこと。



そして、私個人の夢は、このささやかな成功事例を作ることで、「障がい者雇用は、企業の成長戦略になりうる」という事実に、一社でも多くの地方企業に気づいてもらうこと。



就職に向けて、日々、必死に訓練を重ねる仲間たちが、その努力が、正しく報われる社会。



 鳴門キムチが、その未来への、小さな一歩になることを、私は心から願っています。



最後まで、私たちの長く、少し不器用な物語にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。



この想いや哲学は、決してただの言葉ではありません。



 私たちが作るキムチの、体にスッと染み渡る、正直で優しい後味の中に、その全てが溶け込んでいます。



もし、私たちのこの挑戦に、少しでも心を動かされたのなら。



 私たちは、あなたを、この物語の「最後の審査員」として、お迎えしたいと思います。



この物語の「答え」を、あなたの舌で確かめる。





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